JPYCの下落、ペースは半分に — Kaiaの1.4万人は居座ったまま
10月2日終値でJPYCは36.87億円。前週から1億7,896万円(−4.63%)減り、2週連続の減少です。 ただし減少率は先週号の−9.75%からほぼ半分に縮小しました。 先週見つかったKaiaのホルダー急増(5,678人→14,239人)は、 1週間経っても14,200人台を維持し、元の水準へは戻っていません。 一方で送金件数やアクティブアドレス数は急増前の平常値に戻っています。 JPYSCは発行5,741万円/償還6,510万円で、往復の規模が先週の3倍近くに反発しました。
対象期間は2026年9月25日(金)終値 → 10月2日(金)終値。 残高はKV history:days、チェーン別の内訳はjpyc:dataの日次発行・償還額を使っています。 JPYSCのホルダー数(2)は残高が0より大きいアドレスのみを数える当サイト独自の定義です。
先週号では二つの異常を報告しました。Kaiaのホルダー数が1日で2.5倍に急増したことと、JPYCの4チェーンすべてが同時に償還超過になったことです。 どちらも「一時的なノイズ」なのか「構造の変化」なのかを判定するには、もう1週間分のデータが必要でした。 今週分かったのは、前者は定着し、後者は規模が縮小しながら継続しているという、対照的な答えです。
今週の1枚
※ 金の点は先週終値(9/25・38.66億円)。7日間のうち6日で下落し、最終日の10/2だけわずかに上向きました
9月25日の38.66億円から、JPYCは9月26日〜10月1日まで6日連続で下落し、 10月1日には36.83億円まで落ちました。 ところが10月2日だけは前日からわずかに+0.04億円上向き、36.87億円で週を終えています。 9月18日のピーク(44.37億円)からの累計では7億4,920万円(−16.9%)の下落です。
今週の数字9/25終値 → 10/2終値
※ 9月18日の244.69億円をピークに、2週連続で反落しています
合算は239.02億円 → 237.15億円。1億8,665万円のマイナスで、率にして−0.78%です。 前週の−1.70%からさらに減少率が縮小しており、急な動きが徐々に収まりつつある週でした。 JPYC全体のホルダー数は82,230 → 82,835(+605)で、先週の+9,138人に比べれば小さな伸びです。
JPYCの逆流、2週目 — 規模は縮むが方向は変わらず
※ 4チェーンすべてがマイナス。ただしPolygon・Ethereumは先週の3分の1以下まで縮小しました
①要約 — 先週に続き、今週も4チェーンすべてがマイナスです。 最も減ったのはPolygonで−7,440万円、次いでKaiaが−7,097万円、Ethereumが−3,205万円、Avalancheが−153万円。 先週2位だったEthereumが4位近くまで下がり、代わりにKaiaが2位へ上がりました。
②重要ポイント — 規模そのものは全チェーンで大きく縮小しています。 Polygonは先週の−2億947万円から−7,440万円へ(1/3以下)、Ethereumは−1億3,114万円から−3,205万円へ(1/4以下)。 発行に対する償還の比率も、先週の最大15.1倍(Kaia)から最大3.67倍(Kaia)へ縮まりました。
③読みどころ — 韓国国会・政務委員会所属のパク・ミンギュ議員の事務所がUpbitから提出を受けた資料によれば(聯合ニュース報道・ジナコイン)、 Upbit上場後5日間(9/17〜9/21)に基準価格より10%以上高く買った投資家は2万1,219人、 購入総額は約301億円に達し、そのうち77%が基準価格の2倍以上での取引でした。 9月21日時点でなお高値保有していた3,792人は1人平均約15万4,000円の含み損を抱えていたとも報じられています。 当サイトがチェーン上で観測している2週連続の償還超過は、 まさにこの高値掴みの裏側——価格差を見た投資家の損切りや裁定的な巻き戻しが、 2週間かけてチェーンデータに表れている構図とみられます。
④示唆 — 利用者にとっては、上場直後の価格乖離が投機の機会であると同時に、 具体的な人数・金額で確認できる実損のリスクでもあったことが分かりました。 事業者にとっては、上場時にどのチェーンへどれだけ在庫を配置するかという設計課題が、 2週にわたる複数チェーンの償還超過という形で尾を引いています。
Kaiaの1.4万人、戻らなかった
※ 9/25に5,678人から14,239人へ急増したあと、10/2まで14,233〜14,246人の範囲で推移
①要約 — 先週号で報告したKaiaのホルダー急増(9/25に5,678人→14,239人)は、 1週間経ってもほぼそのまま残っています。 10月2日時点で14,246人、5,000人台へ戻る動きは一度もありませんでした。
②重要ポイント — 一方で急増翌日以降のKaiaの日次アクティブアドレス数は276〜323で、 急増前6日間の平均(約357)とほぼ同水準に戻っています。 送金件数も819〜1,176件で、急増前平均(約1,590件)よりむしろ少ない日が続きました。 つまりホルダーの「数」は高止まりしたまま、「動き」は平常へ戻った週です。
③読みどころ — JPYC全体の上位1アドレス保有シェアは、 9月25日の41.52%から10月2日の36.98%、10月4日には32.31%まで 一貫して下がり続けています。 新しく増えた約9,000件近いアドレスの多くは、受け取った少額を動かさずに持ち続けているとみられ、 7月に確認した「ラッキーボール当選金の一斉付与」と同じ、受け取って終わりの一方向フローの特徴と一致します。
④示唆 — ホルダー数が1週間定着し、かつ活動量が平常へ戻ったという2つの事実は、 「一時的なデータの乱れ」説を否定し、「8月のキャンペーンの後日精算」説を補強します。 ただし新規ホルダーが将来活動を始めるかどうかは、まだ分かりません。
JPYSC — 往復は3倍近くに反発、償還はさらに後ろへ
※ 9月は3週連続で縮小していましたが、今週は前週の3倍近くに反発しました
JPYSCは−769万2,583円(−0.04%)。残高は200.28億円で、ほぼ横ばいです。 月〜木の4回で5,741万円を発行し、金曜10/2の13時08分に6,510万円を償還。 発行・償還とも先週(0.33億円/0.30億円)から3倍近くに増え、 8月末から続いていた「毎週縮小」の流れがここで止まりました。
金曜償還の時刻は、7/24の11:14を起点に 7/31=10:54、8/7=11:59、8/14=11:17、8/21=14:41、8/28=12:45、9/4=12:22、9/11=14:02、9/18=13:36、9/25=12:08、 そして今回10/2=13:08と推移しています。 当初の「10時54分〜11時59分の65分間」という狭い窓からは明らかに外れていますが、 直近2週だけを見ると12:08→13:08と、単調な後ろ倒しではなく前後している段階です。
世界の中の円
※ 円=JPYC+JPYSCの10/2終値を1ドル157.82円で換算。他通貨はDefiLlama由来
円建ては$1.50億で非ドル圏2位を維持しました。 JPYCの減少を反映してドル建て規模も先週の$1.51億からわずかに縮んでいますが、 非ドル圏の順位そのものは変わっていません。 ユーロ圏は$9.16億で、円との差は約6.09倍。 3位以下はスイスフラン$56M・英ポンド$39M・豪ドル$10M・シンガポールドル$9M。 世界全体(全通貨合計)は$3,153億で、前月比+1.24%です。
そのほか、今週押さえておく動き9/25 → 10/2
①要約 — 8月6日に東京・高輪ゲートウェイシティ店で行われた ローソン・キャナルペイメントサービス・HashPort・JPYC株式会社によるJPYC決済実証の詳細が、 関係4社へのインタビュー形式で公開されました。
②重要ポイント — 既存のPOSレジと連動したステーブルコイン決済としては日本初。 店員が通常のバーコード決済と同じ手順でスキャンするだけで決済が完了する仕組みを実現しています。
③読みどころ — 記事が挙げた課題は3点。レシート発行までのスピード(au PAY程度を目安に改善が必要)、キャンセル・返品時の処理(「十分に検証できていない業務」)、店舗側に蓄積したステーブルコインを売上にどう反映するかという会計上の論点です。
④示唆 — 利用者にとって決済自体はスムーズでも、 店舗の裏側の業務フロー(レジ締め・返金・会計)が追いついていないことが分かります。 技術的な決済成立と、小売の実務への統合は別の課題だという教訓です。
①要約 — 金融庁は9月30日、オンチェーン金融をテーマとするフォーラムの第1回会合を開催しました。
②重要ポイント — 公表資料によれば、日本銀行は2026年内に、 日銀当座預金のオンチェーン対応について実装に向けた論点と実現への道筋の検討状況を取りまとめる予定です。 DeFi・DEXやウォレット提供業者への規制を含むリスク低減策も検討項目に挙げられています。
④示唆 — JPYC・JPYSCのような民間発行のステーブルコインにとっては、 日銀当座預金のオンチェーン対応が進むと、将来的に裏付け資産の運用・決済の選択肢が広がる可能性があります。
①要約 — Circleは欧州委員会に対し、MiCA(EUの暗号資産規制)が定める準備金ルールの見直しを提案しました。
②重要ポイント — 現行ルールは準備資産のうち、標準トークンで30%、 重要トークンで60%を銀行預金で保有するよう義務付けていますが、 Circleは固定比率ではなく「流動性基準」を満たせばよい方式への切り替えを求めています。 これに対し欧州中央銀行制度は、預金比率ではなく「1〜5営業日以内に満期を迎える」ことを求める 期間ベースの対案を示しました。
④示唆 — 事業者にとっては準備資産の運用の自由度に直結する論点です。 利用者にとっては、ルールが緩和されれば発行体の収益性は上がりますが、 取り付け時に資産をすぐ現金化できるかという安全性との兼ね合いが問題になります。
今週言えること、まだ言えないこと
・JPYCは2週連続で減少したが、減少率は−9.75%から−4.63%へほぼ半分に縮小した。発行/償還の比率も全チェーンで前週より縮まっており、Upbit上場を起点とした巻き戻しは規模を縮めながら続いている。
・Kaiaのホルダー急増(+8,562人)は1週間後も14,200人台を維持し、元の水準へ戻らなかった。一方でアクティブアドレス数・送金件数は急増前の平常値に戻っており、新規ホルダーの多くは静かに保有しているとみられる。
・JPYSCの往復額(発行+償還)は3週連続の縮小から一転、前週の3倍近くに反発した。
・Kaiaのホルダー急増が具体的にどのキャンペーンの精算によるものかは、公式発表がなく特定できていない。
・JPYCの2週連続の償還超過が、韓国での高値掴みの巻き戻しとどこまで直接結びついているかは、送金先アドレスの属性まで追わなければ厳密には切り分けられない。
・JPYSCの往復額の反発が、縮小傾向の終わりなのか一時的な戻りなのかは、来週以降の推移を見なければ判断できない。
総括:急な変化は、1週間では終わらない。先週号では「Upbit上場という単一のイベントが複数チェーンに同時に波及した」と書きました。 今週分かったのは、その波及が1週間で収束するものではなく、規模を縮めながら2週目も続いているということです。 一方でKaiaのホルダー急増は、1週間という時間が「ノイズか構造か」を見分ける材料になりました。 データは一度の観測では読み切れず、積み重ねることで初めて輪郭が見えてくる—— この2週間はそのことを示す好例でした。
本号の数値は当サイトのオンチェーン日次記録(集計期間 2026年9月25日終値〜10月2日終値)に基づきます。JPYSCの10月2日の発行残高20,027,686,120円はKVの日次記録と一致しており、JPYCのチェーン別純増減の合計(マイナス1億7,896万円、集計期間9月26日〜10月2日)は残高差分と完全に一致することを確認しています。世界の非ドル圏比較の円換算には2026年10月4日時点のUSD/JPYレート(157.82円)を使用しています。本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。